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その女性は26歳で無職。家事手伝いでさえなく毎日パソコンばかりして過ごしている。
週に二回、整体に通っている。
その先生とは仲が良く、無料で施術をしてもらっている。
外出はあまりしないが友達もとりあえずいる。恋人はなし。
彼女は精神障碍者手帳2級を持っていて、障害者年金を受け取っている。
彼女はよく体の痛みと変化を訴えている。
外出時はいつもマスクをつける。
そんな彼女に家族は寛容であり、無理に働かせようとせず、自由にさせている。
彼女は発達障害者でもある。
彼女は作業所に見学に行ったがどこにも行かなかった。
彼女はあまり話さない。話さないが、寡黙というわけでもない。
話してみると、全く普通に話す。
私から見れば彼女は全く普通だ。
少し自信がなく見えるが、病んでるとか、精神的に幼いとかいうのも特に感じないし、
話せばごく普通の女性だ。
skypeを使って海外の人と通話もしている。
英語は話せないらしいがなんとかなっているらしい。
着飾っていないせいか、見た目はどちらかというと若く見える。
彼女はペットとして文鳥を飼っていて、文鳥の話をするときはとても楽しそうだ。
好きな芸能人はpentatonixのmitchさんだそうだ。
彼女を知らない人は、彼女が障害者だなんて、まず思わないだろう。
いや彼女の事を知ったら、周りが甘やかしすぎだとか思う人も少なくないだろう。
実際彼女は確かに恵まれているし、発達障害者でも働かずにはいられない人も多い。
彼女は努力をしようとしない。
働く意欲もなくなってしまったようだ。
だが私は彼女の苦しみを知っている。
彼女がどれだけの苦悩と葛藤を乗り越えてきたか、そしてまた新たな試練が
彼女を襲っていることも知っている。
彼女は確かに今は周りの事を考えず勝手に見える。
だが彼女は確実に成長しているし、とても不器用なだけだ。
彼女は、人とは違う経験をしている。発達障害とは関係なく。
彼女は誰よりも孤独だ。
彼女がこうなってしまったのは、必然なんかではない。
私は彼女になんとしてでも乗り越えて欲しいと思っている。
私からすれば彼女はとても強い人だ。
彼女にしてみれば、今すぐ死んだ方が幸せかもしれないけれど、私は生きて欲しいと思っている。
彼女に幸せになって欲しい。
心からそう願っている。
私は彼女を救いたい。
本来の彼女の姿を見たい。
誰がどう思おうと私だけは彼女の味方でいなくちゃならない。